ウランバートルの空に(18)

手術無事修了

3月27日

昨日水曜日に旦那は肩の手術をしました。

先週金曜日に外科専門の病院で検査をして問題なかったので、火曜日8時に即入院。当日朝10時からの手術は予想以上に時間がかかり、病室に戻ったのは13時半。麻酔から覚めつつあるけど痛がっていて、かわいそうでした。

 

手術は無事成功し、レントゲン写真をみる限り、パーフェクトな印象。事前の医師の説明では「どんなにCTを見ても実際切ってみないとわからない。場合によっては年齢のこともあるので、人工骨を入れても構わないか」と言われていました。60過ぎの執刀医は肩・腕の専門医で、経験のあるとても有名な先生だと何人からも聞かされていましたので「お任せします」と答えましたが、少し手こずる手術になることは予想されていたそうです。モンゴルでは患者や家族に本当のことを事前に心配させないため話さない習慣だということを後で聞きました。

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夜、校長先生から突然の電話で今晩は同じ部屋で過ごすようにと言われました。何も準備をしてこなかったし、私は一体どこで寝たらいいのかにゃあと思いつつ、彼と同じ狭いベッドに横になってあれこれ工夫をしていると、座薬を入れて寝ていた旦那が夜9時頃、目を覚ましました。トイレに行きたいと言うのですが、足がふらふらしています。おまけに上の方に固定された点滴が、終わっても誰も来ず、動けません。ナースコールもないので、仕方なく点滴の袋だけをベッドの上に乗って外し、管をつけたままトイレ介助をしました。校長先生のアドバイスは結果的に大変ありがたいものであったことがよくわかりました。

 

外の廊下では夜になればなるほど大勢の患者や家族がやってきてベッドや布団持参で、いびきをかいて寝ていました。なので、夜中ちょっと部屋の外に出るのには勇気がいりました。こちらでは看護師さんに自ら言わないと何もしてくれないということも、後で聞いてわかりました。(ナースコールは普通の病院ではあるそうですが)

特に驚いたのは、布団で寝ている人が枕として使っていたのがなんと500mlの水のペットボトルだったこと。これも後で学生に聞いたら「私のおじいちゃんもそうですよ。モンゴルでは普通ですよ〜」とのこと。写真はまだ夕方の院内風景です。

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3月28日

次の日朝からは普通の食事です。でも自分で取りに行かなければいけません。基本はスープと肉ごはん。朝8時には執刀医が病室に来てくれて様子をみてくれました。そしてその後女性の医師を先頭にゾロゾロ大勢の研修医やら医師やらがやってきました。名前は覚えてくれず「ヤーポン」」と言われるのみ。ガーゼ交換は10時だそうで、医務室に自ら行かなくてはなりません。注射は朝6時と夜10時。日本と違って「ブスッ」とお尻に思い切り突き刺します。また、薬はすべて自腹で院内で購入しなければなりません。日本の完全看護とは様子がだいぶ違います。

部屋は二人部屋ですが、隣に寝ているのは国際関係を学んでいる大学4年生の筋骨隆々の24歳の男の子。彼は火曜日に我々が病室に入った時、ちょうど手術が終わったところでした。英語が大変流暢なので、非常に助かりました。卒論締切が4月22日なのでもうあまり時間がないとか、卒論のテーマについてとか、お兄さんが一橋大学大学院を卒業しているとか、自分も政府関係の機関でインターンをしたとか、大学の先生の話などなど、話題がつきません。私は午前中に家に帰りましたが、その後お母様がお昼に食事を持ってこられたそうです。彼女は東京へも行かれたことがあると写真を見せてくださり、旦那もご相伴に預かりました。他人の親切はありがたいものです。夜カノジョが来る時はさすがに席を外していたようでしたが。

 

3月29日

学校の先生たちは昼と夜、彼にご飯を届けてくれます。私は期末試験をするため事前に準備していたテストを行いました。いつもできる子が声で皆に解答を伝えたりするので、モンゴル人の先生と二人体制で試験にのぞみました。今回初めて割と上手くいったかんじです。

一方同室の学生は、午後友人たちが手伝いに来て無事退院しました。私は放課後病院に連れて行ってもらい、彼の様子を確かめ、作ったお弁当を渡し、小雪舞う中、家の方に行きそうなバスを見当をつけて乗り込み、何とか家に自分で帰りつくことができました。

 

3月30日

朝5時にまた別の患者がいきなり入ってきたそうです。今度の方は英語もロシア語も全く通じず途方にくれていると、隣の部屋に11年間日本で暮らしていたという男性が現れ「何でも言ってください」というので、旦那はすぐに仲良くなったみたいです。彼も入院生活にだいぶ慣れてきたようで逞しいかぎり!?

 

入院生活のお陰で、迷路のような病院の中も大分詳しくなり、普段出会わない人々の生活や家族の様子などを垣間見たり、日本との看護・介護の仕方の違いに驚いたり、色々と勉強になります。さらに嬉しいことに今学期から地方に転任された日本人の先生が春休みということでウランバートルに来られ、早速見舞ってくださりました。夜は本当に久しぶりに日本語課の先生方や英語の先生たちと楽しく食事をしました。

春休みまであと一週間!妹が送ってくれた東京の桜の写真が目に眩しいです。

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